高齢者が食事を食べない理由と対策

高齢者が食事を食べない理由と対策

利用者さんがごはんを食べなくて困っているという経験は、介護の仕事をしている方なら一度や二度はあるかと思います。いったい何が理由で食べないのでしょうか。今回は高齢者が食事を食べない理由とその対策を紹介していきます。

認知機能の低下が原因かも?

認知症イラスト

認知症などにより認知機能が低下していると、食事場所の環境から影響を受けやすくなり食事が進まないことがあります。下記に対策も含めてまとめてみたので、当てはまるものがないかチェックしてみてください。

音があると集中できない

普通は無意識のうちに「音を聞く」ということをコントロールしていますが、認知機能に問題があるとそれが難しくなります。ちょっとした物音や、テレビの音も気になりだすので静かな環境を作ってあげましょう。

動くものに反応してしまう

高齢者は人の動きやテレビの画面の動きに気になってしまい、食事が進まないことがあります。食事中はテレビを消して、スタッフは動き回らず椅子に座り食事を見守ってあげてください。

環境への配慮

室温や湿度が快適ではない、あるいは照明が暗すぎたり明るすぎたりすると、安心感が得られず食事が進まなくなります。エアコンや衣類で温度と湿度の調整をしましょう。衣類はゆったりと着ることができるものを選んでください。照明は食卓の見えやすさとの兼ね合いを考慮しつつ、程よい明るさに調整しましょう。

周りにいる人の影響を受ける

初対面の人や、慣れない人が周りにいると食事に集中できず、時には怒りだしてしまうこともあります。相性への配慮や、スタッフが間にはいることが必要です。一人でゆっくりと食事をできる環境を用意することも考えてあげましょう。

食べたくない理由を伝えられない

食べたくない理由を正確に伝えることができないことがあります。表情や体の動きなどから、サインが出ていないか気をつけて見てみましょう。

認知症の方への配慮

薬をのむ女性

認知症の方は食べる気持ちはあっても、食卓の環境に混乱してしまい食事が進まないことがあるので次のような点に配慮をしてみてください。

  • 食事に必要のないものは食卓に置かない。例として箸置き・調味料・使わない食器などです。
  • 隣の席と間をとる・ランチョンマットを敷くなど、自分の食事はこの範囲と分かるようにする。
  • 介護用の箸やスプーンを食具として理解できないことがあります。食具は直接手渡ししましょう。そうすると進んで食事を始めることがあります
  • 食器と食べ物が同じような色になることは避けて、食べ物を認識しやすいようにしましょう。
  • 皿数は多くせずにワンプレートで配膳する、小分けして提供するなどをしましょう。「こんなにたくさん食べられない」と思い、食事が進まないことがあります。
  • 「これは私のじゃない」「お金をもっていないから」などと食事を断るケースがあります。そんな時は無理に勧めずに、一度食卓を離れてもらい気持ちや考えをリセットしてもらいましょう。
  • 環境を変えて時間を置くと食べ始められることがあります。それでも難しいようなら、おにぎりやパンなど、食事の代わりになるものを提供するのもひとつです。

体内時計の調子がわるい?

食事の時間になっても覚醒せずに眠ってしまう方は、体内時計のサイクルが崩れている可能性が考えられるので適切な対応が必要になってきます。

昼夜が逆転している

生活のリズムを整えるために、太陽の光には体内時計を整える効果があります。睡眠時間にかかわらず朝は決まった時間に起きてもらい、朝日を浴びるようにしてもらいましょう。

また日中は、レクリエーションに参加しいていただくなどをして活動量を上げると、夜に寝付きやすくなります。

薬の影響が朝まで残ってしまう

睡眠薬やその他薬の副作用が朝まで影響がある場合、医師への相談が必要です。薬にもいろいろと種類と効果があるので、その方に適した薬を服用することが大切です。

アルツハイマー型認知症の睡眠問題

連続して眠れない、睡眠と覚醒のリズムが不規則になる症状がでやすいです。確実に効果のある治療法は確立されていないので、下記のような「眠りやすい環境」を整えてあげましょう。

  • 室温の調整(エアコン、衣類、布団など)
  • 照明は暖色の間接照明が眠りを誘いやすい
  • 朝、午前中に日光を浴びる(朝日が寝室に入るようにする)
  • 入床・起床の時間を規則的にする(昼寝はできるだけさける)
  • 夜に向かって徐々に水分の摂取量を控えるようにして、排尿のコントロールをする
  • 痛みのコントロールをする
  • 認知症・睡眠薬の服薬をコントロールする。
  • アルコール、カフェインの摂取を控える
  • 他にもある食べられない理由
  • 疲れてしまう
食べる動作に苦労する・嚥下機能に障害がある・寝たきり(寝たきりに近い)といった状態の方は、食事すること自体に疲労してしまうことがあります。

食材を食べやすい形状にする、介護用のスプーンや箸を使用する、適切な介助をするなどをしてあげましましょう。食事時間が長くならならないよう、20~30分程度にする配慮も必要です。

食事が見えていないのかも

目に白内障などの疾患や、視野が欠けていることで食事そのものを認識できていないことがあります。症状が進行している途中では本人も気づきにくいので、お皿の上の残食の位置に注意しておきましょう。見えやすい位置に配膳する、認識しやすい色のお皿を使うなどの工夫が必要になります。

おいしいと思えない

食べ物を食べて咳き込んでしまう女性

生活習慣病などのために、減塩した食事を提供している場合に多いケースです。うま味や酸味をうまく活用するなど料理方法の工夫をしましょう。

食事の拒否が続いている

拒否が続く時の代表的な理由をまとめてみたので、あてはまるようなら医師に相談してみましょう。

  • 疾病や服用している薬から影響を受けている
  • 体に痛みがある
  • 便秘や下痢の症状がある(排便コントロールがうまくいっていない)
  • 歯や歯ぐき、義歯に痛みなどがあり口腔内に不具合がある
  • 周囲の人(他の利用者さんやスタッフ)に不信感を持っている
  • ストレスや不安、うつなどの精神的な要因

食欲を高める工夫

食欲そのものを高める効果が期待できる方法がいくつかあります。

  • 静かで落ち着いた環境
  • 五感を刺激する(料理を作る時の音・匂い・盛り付けなど)
  • 好きなものをメニューにいれる
  • 喉ごしの良いものを提供する
  • 栄養補助食品を活用しながら食欲が戻るのを待つ
高齢者といえども食事を食べないことは、これまでに紹介してきたように何か理由があります。特に介護サービスを利用している方は体調の変化が激しいので、介護スタッフの注意とサポートが必要不可欠です。理由を探して効果のある対応ができるようにしましょう。また、食事が進まないことに加えて体重が急激に減った、水分も飲もうとしないといった変化がある時は、早めに医師に相談する必要があるので注意してください。

(Posted by 子守熊)

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※掲載情報につきましては、 2020年03月20日公開時点のものです。 施設情報・制度・資格などにつきましては、改定などにより最新のものでない可能性があります。必ず各機関や団体、各施設などにご確認ください。