高齢者の【熱中症】予防と対策

高齢者の【熱中症】予防と対策

「高齢者は熱中症になりやすい」という話はよく聞きますよね。

実際に高齢者が熱中症になりやすいのは事実で、消防庁のまとめによると、熱中症患者数の52.0%は65歳以上の高齢者でした。*1

 

また、高齢者は重症化しやすいため、注意が必要です。

では、なぜ高齢者は熱中症になりやすいのでしょうか?そして、具体的にどうすれば熱中症を予防できるのでしょうか?

今回は、

  • 熱中症の概要とおこりやすい環境
  • 高齢者が熱中症になりやすい理由
  • 高齢者にみられやすい熱中症の症状
  • 熱中症の予防方法
についてまとめました。

高齢者の特徴を理解し、適切な熱中症予防につなげましょう。

熱中症とは?真夏や外出時以外でもおきやすい!

熱中症とは、体に熱がこもってしまい、適切に放出できない状態をいいます。

通常、体には適切な体温に調整する機能があります。暑いときには汗をかく、寒いときには震えて熱をおこすのはそのためです。
この「体温調整機能」が正常に働かないと、熱中症を引き起こします。

一般的に、熱中症になりやすい季節は夏ですが、他の季節も油断できません。
消防庁のまとめでは、2019年に熱中症で救急搬送された人は8月が最も多く36,755人でした。しかし、5月にも4,448人が救急搬送されています。*2
これらのデータから、夏に限らず急激に気温が上昇すると熱中症になりやすいと考えられます。

また、熱中症がおきやすい場所は住居が最も多く、27,500人で38.6%でした。*3
熱中症は炎天下でおきるイメージが強いかもしれませんが、風通しが悪く室温が高い状態も危険であると分かります。

なぜ高齢者は熱中症になりやすいの?

消防省のまとめによると、2019年(5月から9月)の熱中症による年齢区分別の救急搬送人員は、65歳以上の高齢者が最も多く37,091人で、全体の52.0%でした。*1

また、厚生労働省の調査によると、平成30年に熱中症で亡くなった65歳以上の人数は、1,288人で、全体の81.5%を占めます。*4
これらのデータから、高齢者は熱中症になりやすく、また重症化しやすいということが分かります。

では、なぜ高齢者は熱中症になりやすいのでしょうか?
理由は、以下の3つです。

1.体内の水分量が減少する

水
加齢により、体内の水分量は徐々に減ります。そのため、高齢者と成人で同じ量の水分が失われたとしても、高齢者の方が熱中症になるリスクが高くなります。

また、のどが乾いた感覚が鈍くなるので、飲水量が減ってしまいます。

2.暑さを感じにくくなる

介護現場で働いていると、エアコンや扇風機が苦手な高齢者が多いと感じませんか?

原因のひとつは、高齢になると皮膚の温度センサーが鈍くなり、暑さを感じにくくなるためです。
そうすると、服を脱いだり室温を下げたりといった適切な対応ができず、熱中症を引き起こします。

3.熱が発散しにくい

年齢を重ねるとともに、皮膚の血流量や発汗量が少なくなるという特徴があります。

そのため、体温が上がっても熱を発散しにくくなり、熱中症になってしまいます。

熱中症の症状は?重症度によっても違う!

熱中症の症状というと、めまいや頭痛を思い浮かべる人が多いかもしれません。実はそれだけでなく、熱中症の進行具合によって現れやすい症状があります。

今回は、段階別に症状をまとめました。

1.軽度

めまい、立ちくらみ、筋肉痛など

2.中等度

頭痛、吐き気、倦怠感、判断力の低下など

3.重度

意識障害、けいれんなど
自力で動けない、呼びかけに反応しないといった状態は、意識障害です。救急車で搬送し、すぐに医師の診察を受ける必要があります。

これらの症状は単発ではなく、同時に複数みられる場合も少なくありません。
また、高齢者は自ら訴えられる人ばかりではありませんので、介護者が注意して観察する必要があります。

高齢者の熱中症は防げる!具体的な予防方法3つ

これまでの内容をふまえ、高齢者の熱中症予防に気をつけたい3つのポイントをまとめました。

暑さを避ける工夫をする

冷房
まずは、エアコンや扇風機を使って室温と湿度を適切に保ちましょう。室温28℃以下、湿度60%以下が、熱中症を予防する環境の目安とされています。*5

難しい場合は、ブラインドやすだれなどで日差しをさえぎり、窓を開けて空気の通り道を作るように心がけてみてください。その際、温度計や湿度計を利用すると便利です。高齢者は、自分自身の感覚だけでは暑さが分かりにくいので、目で見て分かると対策しやすくなります。

また、外に出るときは、風通しのよい服装と帽子を身に着けるようにしましょう。

こまめな水分補給

のどが乾いてから飲むのではなく、日常生活に合わせて飲む方法もおすすめです。例えば、入浴の前後や就寝前・起床後は、体内の水分量が少なくなりやすいので、意識して水分をとるようにしましょう。

厚生労働省では、今飲んでいる水分量にプラス2杯飲めば、一日に必要な水分量をおおむね確保できるとしています。*6
ただし、循環器系に疾患があると水分を制限されている人もいるので、医師の指示に従ってください。

また、脱水予防に経口補水液を勧められることがありますが、持病がある人は注意が必要です。経口補水液には、塩分や糖分が含まれています。高血圧や糖尿病を患っている人は過剰摂取になる可能性があるので、医師への相談をおすすめします。

介護者が感じる「いつもと違う」は大切な感覚

高齢者は自分で症状を訴えられる人ばかりではありません。そのため、介護者が「いつもと違う」と気づくことが大切です。
いつもより元気がない、水分をとりたがらないなどの症状がみられたら、熱中症を疑いましょう。

初期であれば、薄着にして体を冷やすなどで対処できる場合もあります。しかし、不安なときは自己判断せず、医師に連絡して指示を受けるようにしましょう。

【まとめ】

加齢によってさまざまな機能が低下するため、高齢者は熱中症のリスクが高いことが分かりました。

熱中症は、適切に対処すれば防げます。過ごしやすい環境を整え、水分補給をし、熱中症を予防しましょう。

【参照サイト】
*1
消防庁 「2019年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/heatstroke_geppou_2019.pdf(3p)

*2消防庁 「2019年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/heatstroke_geppou_2019.pdf(2p)

*3消防庁 「2019年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/heatstroke_geppou_2019.pdf(4p)

*4厚生労働省 「年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移(平成7年~30年)~人口動態統計(確定数)より」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/necchusho18/dl/nenrei.pdf

*5政府広報オンライン 「熱中症は予防が大事!「高温注意情報」や「暑さ指数」の情報を活用し、十分な対策をとりましょう
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201206/2.html

*6厚生労働省 「「健康のために水を飲もう」推進運動」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/nomou/index.html

 

 

(Posted by 浅野すずか)

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※掲載情報につきましては、 2020年05月11日公開時点のものです。 施設情報・制度・資格などにつきましては、改定などにより最新のものでない可能性があります。必ず各機関や団体、各施設などにご確認ください。