介護保険とは?【介護保険の概要と申請方法を理解しよう】

介護保険とは?【介護保険の概要と申請方法を理解しよう】

こんにちは。社会福祉士・介護福祉士の笑和です。

介護保険とは「介護が必要となった高齢者等を社会全体で支える仕組み」です。この記事では介護保険制度の概要を説明するとともに、介護保険サービスの受給までのプロセス、受給できる介護保険サービスの内容を紹介します。

はじめに

内閣府の発表した「令和元年版高齢社会白書」によれば、総人口に対して高齢者の割合(高齢化率)は、28.1%とされています*1。今後、この高齢化率はより進展するだろうと見込まれており、高齢者の介護の問題は、今や社会問題であると言ってよいでしょう。

我が国ではこれまで、高齢者の介護は各家庭内で担ってきました。しかし、平均寿命の延長、核家族化の増加、扶養意識の変化等によって、現在は家庭だけで親の介護をするのは困難となりました。

そこで登場したのが介護保険制度です。社会保険制度のなかに、新たに介護に関する制度を設け、社会全体で支え合う制度としてスタートしました。

介護保険制度の目的

診断表

介護保険制度の基本理念は、「介護の社会化」です。先述のとおり、家庭だけで老親の介護を担うことは難しいので、国民から徴収した税・保険料を元に、社会全体支え合うという目的でスタートしました。
介護の必要な人(要介護者)が、充分な介護サービスを受けられるように、社会全体で支え合う制度といえるでしょう。

介護保険の保険者

介護保険制度の保険者は、市町村および特別区(広域連合を設置している場合は広域連合が保険者)です。保険者は、主に次のような役割を担います。

  • 被保険者の資格管理に関する事務
  • 要介護認定・要支援認定(後述)に関する事務
  • 保険給付に関する事務
  • 保険料徴収に関する事務 ほか
住民に最も近い行政機関である市町村および特別区が保険者であるという点は、介護保険制度の特徴であるといえます。

被保険者

介護保険の被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者の2種類に大別できます。以下、詳しく説明します。

第1号被保険者

65歳以上で、市町村等の区域内に住所を有する者です。
原因を問わず、要介護認定・要支援認定を受けることができ、介護が必要な状態だと判定された場合は、介護保険サービスを受給できます。

第2号被保険者

40歳~64歳までの人で、市町村等の区域内に住所を有し、公的医療保険(健康保険等)に加入している者です。
加齢に伴う疾病(特定疾病)が原因で要介護認定・要支援認定を受け、介護が必要な状態だと判定された場合に、介護保険サービスを受けることができます。

特定疾病とは

厚生労働省は*2、介護保険制度上の特定疾病を次のとおり定義し、その範囲を示しています。

定義

特定疾病とは、心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病であって次のいずれの要件をも満たすものについて総合的に勘案し、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病である。

範囲
  1. がん(末期)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

利用手続き

書類記入

何らかの原因があり、自立した生活を送るのが難しい状態(要介護状態)になった場合、介護保険サービスを利用します。この利用のためには、まず要介護認定・要支援認定を受ける必要があります。

この要介護認定・要支援認定とは、被保険者がどの程度介護が必要な状態かを判定するものです。

要介護認定のプロセス

ここでは、介護保険サービスを利用するまでのプロセスを説明します。まずは申請から始まり、判定・審査を経て、介護サービス受給開始という流れです。

申請

被保険者または家族が、保険者である市町村の担当窓口にて要介護認定の申請を行います。
被保険者や家族が申請することが難しい場合は、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、介護保険施設等で代行することができます。

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1次判定

申請のあった市町村の担当者が被保険者の住む居宅等を訪問して、訪問調査を行います。被保険者や家族からヒアリングをしなが、心身の状況に関する調査(74項目)を行います。

そこで得られた内容をコンピュータに入力して、出た結果が1次判定です。

2次判定

1次判定の結果、主治医の意見書、その他の特記事項を元に、介護認定審査会が行う判定を2次判定といいます。

介護認定審査会とは、医療や介護分野の有識者が5人1組の合議体で要介護の審査・判定を行う機関です。具体的な職種は次のような専門家です。

  • 医師
  • 歯科医師
  • 薬剤師
  • 看護師
  • 保健師
  • 社会福祉士
  • 介護福祉士
  • 介護支援専門員 ほか

要介護度の判定

前述の流れで、被保険者の要介護度が判定されます。

判定区分は7段階となり、軽い順に要支援1・2、要介護1~5です。立ち上がり等に支援が必要な状態だと要支援1、寝たきりの状態だと要介護5に相当します。

この認定された区分によって、受けられる介護サービスが異なります。たとえば、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、原則として要介護3以上でないと入所できない、などです。詳しくは後述します。

判定結果に不服がある場合は

要介護度・要支援度(判定区分)の結果に不服がある場合は、都道府県に設置された「介護保険審査会」に対して審査請求をすることができます。

【check!】
介護認定の不服申し立てについては、こちらの記事で詳しく説明しています!

要介護認定の結果に不服申立てはできる?

保険給付の方法

バケツリレー

要介護認定において、要支援・要介護と認定された場合、介護保険制度上の介護サービスを受給することができます。介護保険サービスは種類が多いため、以下では代表的なサービス種類を紹介します。自分に合ったサービスを利用しましょう。

居宅サービス

自宅に住み続けながら利用できるサービスです。要支援や要介護1~2等の要介護状態が比較的軽度な方が利用します。

訪問介護(ホームヘルプサービス)

介護福祉士や初任者研修修了者(旧:ホームヘルパー)が、利用者のお宅を訪問して身体介護のみならず、生活援助(掃除、洗濯、料理等)を実践します。

通所介護(デイサービス)

自宅に住む利用者が、デイサービスセンター等を訪れて、日帰りで介護サービスを受けます。食事、入浴、レクリエーション等のサービスを受けることができます。

短期入所生活介護(ショートステイ)

自宅等に住んでいる要介護高齢者等が、数日~1ヶ月ほどの短期的に福祉施設に入所するサービスです。
例えば、主な介護者である妻が病気療養のために入院することになった場合、介護を受けている夫が一時的に施設等に入所してサービスを受けるといったものです。
食事、入浴、排泄等の日常生活上の介護を受けることができます。

福祉用具のレンタル等

自宅での生活を便利にするために、福祉用具をレンタルすることができます。具体的には次のような福祉用具があります。

  • 介護用ベッド
  • 車椅子
  • 歩行器
  • 歩行補助用の杖 ほか

施設サービス

自宅ではなく、高齢者福祉施設に入所して生活する要介護高齢者等に提供されるサービスです。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

常に介護が必要な状態で、自宅での生活が難しい人が入所します。食事、入浴、排泄などの生活上の介護サービスを受けて、施設内で生活を送ります。原則として、要介護3以上の人が対象です。

但し、厚生労働省の発表した「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」*3によると、施設への入所を待つ待機者が全国で29.2万人いるといわれています。依然として、待機者問題は深刻といえ、簡単には入所できないのが現状です。

介護老人保健施設

病院等に入院していた利用者が、急性期の治療が終わり、今後は回復期でのリハビリを中心とした生活に移行する、そういった人たちの入所する施設です。

施設内では、医学的な管理を受けながら、生活上の介護(食事、入浴、排泄等)や看護、リハビリ等のサービスを受けます。やがて在宅に復帰することが目標で、主に要介護1以上の人が対象です。

介護療養型医療施設

治療は終わって病状は安定しているものの、重度の要介護者であるため、引き続き医療的管理とリハビリテーションが必要な人が入所する施設です。
これまで見てきた「介護老人福祉施設」や「介護老人保健施設」と比べて、医療ケアがより充実している施設といえます。

地域密着型サービス

今後、認知症や中重度の介護状態になる恐れはあるものの、できる限り住み慣れた地域で生活できるように提供されているサービスです。種類が幾つかあるので、ここでは主に、認知症対応型共同生活介護と、小規模多機能型居宅介護を説明します。

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症のある要介護高齢者等が入所する小規模施設です。一つの共同生活住居に5~9人の少人数の利用者が入所して、家庭的な雰囲気のなかで介護サービスを受けられます。

これまで紹介した介護保険施設(介護老人福祉施設や介護老人保健施設等)に比べると小規模で、家庭的な雰囲気のなかで生活を営み、認知症の進行を防ぐことが狙いとされています。

小規模多機能型居宅介護

利用者が選択に応じて、「通い」「泊まり」「訪問」のサービスを提供します。

例えば、基本は施設への「通い」で介護サービスを受けていて、今日は自宅には介護者がいないので夜は「泊まり」を選択する。別日には、施設の職員が自宅を「訪問」し、介護サービスを受けるといったものです。

これら3種類のサービスを受け、家庭的な環境のなかで日常生活上の介護を受けられる点がメリットです。

利用者の負担

ヘルスケアの積み木

これまで紹介したような介護保険制度のサービスを受ける場合、かかった介護サービス料全体の1割を、利用者が自己負担額として負担しなければなりません。残りの9割は介護保険料と税金で賄われています。但し、現役並みの所得がある高齢者については、自己負担割合は2割または3割になります。

また、要介護度に応じて利用者できるサービスの限度額が定められていますので、この限度額のなかでサービスを利用することが基本です。限度額を超えたサービス利用の場合は、利用者が全額自己負担をしなければなりません。

最後に

核家族化が進行し、家庭だけで要介護高齢者の面倒を見るのは困難な時代です。そんななかにある介護保険制度は、介護の必要な高齢者等が生活をするうえで欠かせない社会保障制度といえます

要介護認定を受けて介護サービスを受けるうえで分からないことはたくさんあると思います。ケアマネージャーが相談に応じて、適切な助言をくれます。介護保険制度を利用する場合には、まずは近くの市町村窓口または、地域包括支援センターに相談に行ってみましょう。

(Posted by 笑和)

参考文献:

*1 内閣府 「令和元年版高齢社会白書」

*2 厚生労働省 特定疾病の選定基準の考え方

*3 厚生労働省 「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」

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※掲載情報につきましては、 2020年04月03日公開時点のものです。 施設情報・制度・資格などにつきましては、改定などにより最新のものでない可能性があります。必ず各機関や団体、各施設などにご確認ください。