【地域包括ケアシステム】~住み慣れた地域で元気に過ごすために~

【地域包括ケアシステム】~住み慣れた地域で元気に過ごすために~

高齢化社会
日本は諸外国と比べても、例を見ないほどの驚くべきスピードで少子高齢化が進んでいます。

今や3600万人もの人が65歳以上となっており、このまま進むと2045年にピークを迎え、そこから人口の減少とともに全人口に対する65歳以上の割合は増えていくことが予測されています。

地域包括ケアシステムは、高齢者が住み慣れた地域で健康で長生きできるように考えられたシステムです。

地域包括ケアシステムって?

急速に高齢化が進む現代社会において、高齢者をどのように支援すればよいのかと長い間議論が繰り返されてきました。

1960年代は、65歳以上1人に対して20~64歳は9.1人の割合であったが、2012年では、2.4人と大幅に減少しました。
2050年には65歳以上1人に対して20~64歳は1.2人で支えるという、一人の若者が一人の高齢者を支えるといういわゆる肩車型社会になると危惧されています。

厚生労働省は2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目指し新しい取り組みを構築しました。

高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域が連携し、包括的な支援・サービス提供体制の構築を呼びかけています。

医療や福祉だけでなく、地域に住む人々が一丸となって提供できるサービス体系地域包括ケアシステムと呼びます。

地域包括ケアシステムの構成要素

車いすを押す男性
地域包括ケアシステムには5つの大きな構成要素があります。地域包括ケアシステムの構成要素を考えるにあたって、その構成要素は植木鉢によく例えられています。

本人の選択と本人・家族の心構え

本人の選択と本人・家族の心構えは、植木鉢の受け皿の部分です。どんなに良い植木鉢だとしても設置面が不安定だとすぐに転落や倒れてしまうリスクが高いです。

地域で生活を継続していくためには、高齢者自身が地域で暮らしていくという明確な意思を持ち、その意思を尊重するように本人や家族がしっかりとそのための心構えを持つ必要があります。

住まいと住み方

次の段階は、家とその住み方です。これは植木鉢に当る最も大事な部分です。

高齢者がどこで住むのか、持ち家なのか、賃貸であれば賃料や保証人はどうするのかなど考えるべきことが沢山あります。しかし、住むところがしっかり決まっていないとその先のサービスを受けることができないので、じっくりと時間をかけて決めていくべき要素です。

また、住環境はプライバシーの保持と個人の尊厳に大きな影響を与えるので、安心して暮らせる環境が必要です。

介護予防・生活支援

介護予防・生活支援は、植物の養分となる大事な要素です。

介護が必要とならないように日ごろから介護予防のために散歩や体操など自助努力を行ったり、地域で町会・自治会などの活動やボランティア・NPOなどによる介護予防の活動を積極的に行っていく必要があります。

心身機能が低下したり、経済状況が変化しても生活が継続できるように国や自治体は様々な生活支援を実施しています。生活支援には、公的なサービスだけでなく、地域性のある独自のインフォーマルサービスも含まれます。

医療・看護

医療や看護など専門職が行うサービスは、植木鉢の「葉」に例えられています。

医療や看護は、高齢者の医療ニーズを満たすために非常に重要な位置づけとなっています。しかし、医療や看護も、土台である生活支援や本人や家族の心構えが充実していないと最大限に効果を発揮することはできません。

葉は栄養が充実すれば何枚も数を増やしていきます。職によるサービスも同じように土台が安定すれば、一人一人のニーズに合わせてサービスの供給量が増えていくでしょう。

介護・リハビリテーション

介護・リハビリテーションも専門職によるサービスで、「葉」に例えられています。

高齢者が住み慣れた地域での生活を継続していくためには、必要な介護を必要な分だけ受ける必要も出てきます。少しの手助けがあれば生活を継続していく不安も軽減するでしょう。

リハビリテーションも生活を継続していくために、地域でも積極的に取り組んでいく必要があります。専門家の目から生活動作を困難にする原因や、改善のためにはどうすれば良いのか等しっかりとアセスメントを行ってもらいます。

実際の場で練習をしたり、必要な福祉用具を選定するなど、ケアマネージャーともより密に連携することが必要となってきます。

保健・福祉

最後に構成要素である保健・福祉も「葉」の部分です。介護保険や身体・精神障碍者の福祉・生活保護のサービスなどがこの部分にあたります。

必要なサービスを必要なタイミングで受けられるように各自治体でサービス体系をしっかりと整備していかなければなりません。

高齢者のニーズは時代とともに常に変化するので、変化に対応できる受け皿の整備も重要です。

地域包括センターの存在

地域包括センターは、地域包括ケアシステムを形づくる中核施設として非常に重要な役割を担っています。

生活・医療・介護・予防に一連の関係性と流れを作り、高齢者が今までと同じ地域で安心して暮らせるように、一人一人の高齢者に対して最適なサポートを行う拠点として機能します。

具体的には、地域の高齢者の総合相談の実施、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助のための方策を考え、各施設や事業所と連携して実践します。

また、地域ケア会議と呼ばれる様々な職種の集まるケース会議を通して、地域に住む高齢者がどんな問題に直面しているか、地域としてどんな課題があるかを抽出しています。

地域包括ケアシステムの課題

手を取る医師

医療・介護連携

地域包括ケアシステムで最も重要な課題の一つは、医療と介護の円滑な連携体制づくりです。

地域に住む高齢者は単一の新刊だけでなく、複数の疾患を抱えていることが多く、安心して暮らせる地域の体制を整えるには、医療・看護サービスと介護サービスが密接に連携していることが重要となります。

しかし、医療従事者と介護従事者の間には、目に見えない心の壁と呼ばれる「メンタルバリア」があると指摘されています。お互いにしっかりとコミュニケーションを取って、連携していくことが今後の課題と言えるでしょう。

地域格差

地域包括ケアシステムは全国一律のシステムではなく、地域ごとの課題を考慮しながらその地域独自のシステムを作っていく必要があります。そのため地域ごとにばらつきがあり、全てがうまくいくとは限りません。

また、地域の人口や財源によってもシステムやサービスの質や量も左右されてしまいます。地域ごとの課題に対応したシステムづくりや、実現のための綿密な計画や話し合いが重要となってきます。

地域包括ケアシステムを理解し、出来ることの実践を

地域ケアシステムは、高齢者が住み慣れた地域で長く健康に暮らしていける社会を実現するための大きな第一歩となるシステムです。

自治体や医療・介護機関が単独で行動するのではなく、地域全体が一丸となって高齢者を支えていく必要があります。

まだまだ課題が山積みですが、一人一人が地域の一員となって、共に地域を作っていく姿勢が重要です。

 

(Posted by めっし~)

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
※掲載情報につきましては、 2020年03月13日公開時点のものです。 施設情報・制度・資格などにつきましては、改定などにより最新のものでない可能性があります。必ず各機関や団体、各施設などにご確認ください。