介護職員が行うリスクマネジメントにおいて考えるべきポイント

介護職員が行うリスクマネジメントにおいて考えるべきポイント

リスクマネジメントの画像

介護の現場におけるリスクマネジメントと聞くと『利用者の安全を確保すること』『転落や転倒の防止』など介護事故への対策を頭に浮かべる方が多いと思います。

こういった利用者の命に関わりかねない介護現場の事故やトラブルは、どんなに気をつけていても起きる時は起きてしまいます。かといってそれを放っておくわけにはいきません。実際に私も介護福祉士として利用者のケアに携わる中で、転倒による骨折や食事中の誤嚥など命を左右しかねない状況を目の当たりにしてきました。しっかりとした準備と対応の必要性を強く感じます。

また、最近では介護業界をとりまく環境が変化しており、リスクマネジメントのもつ意味や大切さも変化してきました。

環境の変化においてまず言えるのが、利用者、家族の介護への権利意識が以前と比べ高くなったとことが挙げられます。近年、介護事故への訴訟などのトラブルは急増しており、いつ自分が当事者になってしまうかわかりません。

次に、介護業界自体が高齢化社会の進展から社会的に注目されているということです。テレビや新聞でも、虐待や、感染症の院内感染などは大きく取り上げられます。

注目される機会が増えるにつれ、利用者やその家族からの厳しい視線にさらされていくことは避けられないでしょう。さらにネガティブな事故や情報によって組織が一度信信用を無くすと、利用者、家族のみならずスタッフからも見放され、サービスが提供が出来ないという事態にも陥りかねません。

知っておきたい3つのポイント

ポイントのイメージ

このように環境が変化していく中で、現場で働く介護職員はリスクマネジメントについて何を知り取り組んでいく必要があるのでしょうか。そのポイントは大きく分けると3つになります。

PDCAサイクルを有効に機能させましょう

PDCAサイクルとは管理業務を円滑に進める手法の一つです。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のプロセスを繰り返すことによって、業務を継続的に改善していくことを目指します。これをいかに活かしていくかが大切になります。

例えば、ある利用者が転倒をしてしまったとします。当然、転倒を予防する対策を考えることになるでしょう。この時に転倒を予防するPlan(計画)を立て、それをDo(実行)します。その後、計画を立て実行した内容が適切であったのか、または効果があったのか、確実に実行できたのかなどCheck(評価)をします。そして評価の内容をもとにしたAct(改善)を行います。改善したことをもう一度計画にあげてサイクルを繰り返していきます。これらの流れがPDCAサイクルです。

この時に大切になってくることがもう一点あります。それは5W1Hを決めておくことです。When(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)を具体的に決めておくのがPDCAサイクルをより効果的に活かすポイントになってきます。例えば、Plan(計画)をいつまでに誰が立てるのか、Check(評価)をいつ誰がどのような方法でするのかを決めておくということです。そうすることでポイントを押さえた予防が可能になり、効果、結果を実感しやすくなります。

介護職員が行う記録において必要な「5W2H」とは?理解すれば記録の苦手克服が可能!

アセスメント

心身の状態や、それぞれの利用者が持つリスクを把握しておくことも大切です。

利用者へのケアに際して、事前にその人の身体状況(ADL・IADL・疾患や服薬の状況など)や認知機能についての詳細なアセスメントを行ないましょう。また生活動作を起こすうえで動機となる、趣味・趣向や生活観、それらのベースとなっている過去の生活歴や生活習慣も把握しておくとなおよいでしょう。そして、それらの情報を現場で共有しながら、利用者が次にどのような動作を起こすのか、そこにどんなリスクが生じるのかといったことを予測するのです。

そうすることでリスクの軽減を目指していきましょう。介護事故が起きた時はもちろん、起きる前の段階でこういった取り組みをしていけば介護事故を予防していくことができます。

尊厳を守る

例えば転倒をしてしまった利用者がいるとします。今後も転倒のリスクがあるからと言って、椅子に縛り自由に動くことを制限するのはNGです。確かに転倒を予防することができても、それでは利用者の尊厳を守っているとは言えません。

尊厳とは簡単に言ってしまえば「その人がその人らしく生きる」ということです。尊厳の保持は介護保険法でも定められている、いわばケアを提供するうえでベースとなる重要なことです。
介護事故を起こさないためといえども利用者の自由を奪ってよいということにはなりません。尊厳を保持しながら利用者の安全を守るということを大切にしてください。

ケアを提供する際にはエビデンス(根拠)がとても重要になります。ここがしっかりとしていないと介護事故が起こってしまった時に、ケアの正当性や妥当性を訴えることができません。訴えたとしても受け入れてはもらえないでしょう。訴訟などになってしまうとなおさらです。エビデンスをしっかりとさせておくことは、利用者やその家族にケアや状況への理解や協力してもらうためには必須といえます。今回挙げた3つのポイントがそのエビデンスにあたります。

利用者の尊厳を守りながらアセスメントをしっかりと行い、PDCAサイクルを機能させたケアを実施する。こういったリスクマネジメントの取り組みを進めて自分や組織、そして利用者を守っていきましょう。

(Posted by 子守熊)

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
※掲載情報につきましては、 2019年11月30日公開時点のものです。 施設情報・制度・資格などにつきましては、改定などにより最新のものでない可能性があります。必ず各機関や団体、各施設などにご確認ください。

仕事お役立ちコラムカテゴリの最新記事