相手を傷つけない「トイレ介助」の心構えとは?

相手を傷つけない「トイレ介助」の心構えとは?

排せつは私たち人間が生きていくうえで必要な生理現象です。
また、健康の状態を知る大切なバロメーターでもあります。

介護においても「排せつケア」はとても重要な介助になります。しかし、私たちはだれでも排せつを人に見られることや、他人に関わられることへ抵抗を感じてしまいます。もちろんそれは高齢者でも同じです。

排せつケアで利用者さんを傷つけず、スムーズに行うために何が大切になってくるのか今回は紹介したいと思います。

たった一つの知っておきたいポイント

排せつケアについて考える前に、まずは必ず知っておいてほしい重要なポイントが一つあります。

それは「排せつを見られる人の気持ち」です。

自分が排せつをしている姿を他人に見られているとイメージしてみてください。すごく恥ずかしくて嫌な気持ちになりませんか?

その嫌な気持ちは利用者さんも同じように感じています。

 

もし、実際に見られていたら、泣いてしまう方や怒ってしまう方もおられるでしょう。

現実にそのようなことが起これば、テレビのニュースや警察沙汰になってもおかしくないことです。

私たち介護職員は介護をするという目的のもとで、同じ人間である利用者さんに対して必要であるといえど、そういった気持ちへの負担を望まずとも背負わせてしまっているのです。

ケアと尊厳

排せつケアをする時には、利用者さんの気持ちを深く意識する必要があります。

恥ずかしい気持ちに配慮しない排せつケアは、「尊厳」を傷つけることにつながります。
尊厳を保持することは介護保険法で定められている重要なことです。

ここで一度考えたいのは、それほど大切にされている尊厳とは具体的には何なのかということです。

 

尊厳の意味を言葉で説明しようとすると難しさがありますが、わかりやすく言うと

  • その人がその人らしく過ごすことができる
  • 自尊心が保てる
  • 惨めな思いをしなくてすむ
などの権利のことを言います。

 

尊厳の保持と私たちが毎日しているケアをつなげてみます。

「その人がその人らしく過ごすことができる」=「私(利用者さん)が行きたい時にトイレに行く」
「自尊心が保てる」=「自分の考えややり方で失敗なく排せつができる」
「惨めな思いをしなくてすむ」=「排せつの時に隣にいるのではなく、トイレの外で待っていてもらう」

尊厳と意識すると難しく感じますが、普段のケアや利用者さんの気持ちと結びつけるとイメージがしやすいかと思います。

毎日の中で大切にしたい「尊厳」

排せつケアについて考える時に何が一番大切なのかというと、ここまでに紹介してきた「尊厳を大切にする」ことです。

どれほど優れた介護技術で排せつケアをしても、そのベースに尊厳を大切にする気持ちがなければ利用者さんに受け入れてもらえません。

恥ずかしそうに目をそらしたり、不機嫌になったりケアを拒否することだってあります。
実際にそういったケースをたくさん見てきました。

利用者さんは人生の大先輩です。たくさんの人と出会い、出来事を繰り返し経験豊富なので上っ面だけの技術では通用しないのです。

 

話を広げると排せつケアの時だけ尊厳を守るのではなく、普段からどれだけそれを大切にしたケアと関りを利用者さんと持つことができているのかが大切になってきます。すべてはつながっているのです。

尊厳を大切にしたケアが普段からできていれば利用者さんと良好な関係を築くことができます。その関係が利用者さんを傷つけないためにとても大切になってくるのです。

極論になりますが、排せつケアで多少の恥ずかしい思いや失敗も笑い話にすることができるでしょう。

「尊厳」を大切にしたケアとは?

介護技術やケアの方法は尊厳の大切さを理解したうえで、身につける必要があり言わばタイヤの両輪のようなものです。どちらも必要不可欠になります。

では、尊厳を大切にしながら行う排せつケアとはどんなものなのでしょうか。トイレでの排せつケアを例に考えてみたいと思います。

 

【トイレでの排泄ケアの例】

①トイレまでの誘導

職員から声をかける際には、周りの人にわからないようにそっと耳打ちしたり、人のいない離れた場所で誘うなどの配慮が大切です。

トイレまで誘導する際には、障害物の有無や本人の歩行状態を確認しましょう。ここで手間取るとトイレに間に合わないこともあるので注意が必要です。

 

②衣服(ズボン、パンツ、おむつなど)の脱衣

利用者さんが自分でできることは任せてしまいましょう。

仮に失敗があったとしても、そこを起点にケアの方法を検討すればよいのです。なんでも職員がしてしまうと利用者さんの自尊心を傷つけ、ケアの必要性についての判断もできなくなってしまいます。

 

③便座に座るまでの介助(移乗)

状態に応じて介助しましょう。②と同じように自分でできることはしてもらうのが重要です。

 

④排泄中は外で待つ

排せつ中は恥ずかしい思いをさせないように、職員は外で待っていましょう。

見守りが必要なようなら、事前に本人や家族の了解を得てトイレのドアを少しだけ開き中での様子を把握するといった方法をしてみるのもひとつです。

どうしても側で見守る必要があるのなら、陰部をタオルで隠してあげる配慮をしてあげましょう。

 

⑤排せつ終了の確認(声かけ)

排せつが終わったら、ナースコールや声をかけてもらうなどの合図をしてもらいましょう。

合図がなければ職員から声をかけたほうがよいですが、焦らせたり強引に促すようなことは避けましょう。

 

⑥清拭(せいしき)

自分で清拭できればよいのですが、難しいようなら手伝ってあげましょう。

健康状態を確認できるように、排泄物の確認はさりげなくおこなってください。

 

⑦衣服の着衣

自身で衣服を着ることができない場合は、介助をしましょう。

 

これらのことを素早くスムーズにすることが、恥ずかしさや嫌な思いをさせないためには大切になります。

大切なのは相手の気持ちを考えること

排せつは毎日おこなうことなので、利用者さんに苦痛を感じさせないことがより重要になってきます。

決して職員の都合で急かしたり、怒ったりはせずに、自分でできることはしていただきながら、尊厳を大切にしたケアをおこなってください。

尊厳を守ることで、自信や意欲につながり利用者さんの生活は安定したものになるでしょう。

現在、介護の現場はどこも人手不足で理想的なケアが行える環境とは言い難いものがあります。しかし、そんな時だからこそ一度、介護の大切なポイントである尊厳について考えてケアをすることが必要なのではないでしょうか。

 

(Posted by 子守熊)

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※掲載情報につきましては、 2020年02月20日公開時点のものです。 施設情報・制度・資格などにつきましては、改定などにより最新のものでない可能性があります。必ず各機関や団体、各施設などにご確認ください。

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