【ケアプラン有料化】議論の背景と見送りの理由を解説

【ケアプラン有料化】議論の背景と見送りの理由を解説

ケアプラン作成のイメージ

2020年の法改正での有料化が話題に上がったケアプラン

今回有料化は見送られましたが、そもそもなぜ介護保険で負担されていたケアプランの有料化が提案されたのでしょうか。

この記事ではケアプラン有料化の案が上がった社会的背景と、有料化が見送られた理由について解説します。

ケアプランとは

ケアプランは、介護保険制度を利用して介護サービスを受けるために必要となる計画書のことです。

要介護者が在宅で生活をしていく場合には「居宅サービス計画」、施設に入所して生活していく場合には「施設サービス計画」がありますが、

それぞれケアマネジャー(介護支援専門員)に個別に利用者の状態を確認して課題等を分析し作成されるものです。

ケアプランが作成されたら、その計画に基づいてサービスが提供され、定期的なモニタリングを繰り返します。

目標の達成度や、状況の変化に応じてケアプランは変更されていきます。

これがケアマネジメントプロセスと呼ばれるもので、この一連の業務をケアマネジャーが行っています。

ケアプランはサービスの提供を受ける根拠であるため、利用者だけではなく介護保険制度を管理するためにも必要なものともいえるでしょう。

ケアプランは現状利用者負担なし

在宅生活を続ける場合、居宅介護支援事業所のケアマネジャーによるアセスメントや利用者本人や家族も含めた関係者による会議を経てケアプラン(居宅サービス計画書)が作成されます。

また、ケアプランは「作成して終了」するのではなく、その計画の実行を継続的に確認する必要があります。

一人一人に必要なサービスは異なるため、ケアマネージャーは進捗を細かく確認してケアを実行していかなくてはなりません。

そのための費用は当然それなりにかかり、地域、要介護度などによっても多少の差があるものの、1人あたり月に約1万円以上かかっています。

2020年現在この費用は利用者本人による自己負担はなく、その費用はすべて(10割)介護保険により給付されることになっています。

この方針は制度開始当初から維持されています。

ケアプラン有料化」はこの費用にも一部自己負担を導入しても良いのではないかという意見から持ち上がった案です。

介護保険制度について議論する社会保障審議会(介護保険部会)でも「ケアマネジメントに関する給付の在り方」として取り上げられ、議論されてきました。

なお、施設のケアプランについては、入所しているだけでもそこで必要な介護サービスを受けるために毎月一定の費用がかかるため、有料化の対象ではありません。

介護サービスの自己負担は年々増加傾向

右肩上がりのグラフ

高齢化の進行により介護保険の総費用は年々増加しています。それに比例するように介護サービスの自己負担額も年々増加傾向にあります。

ケアプランの料金がすべて介護保険でまかなわれる一方、介護サービスそのものの自己負担は制度開始当初からあり、当初は一割負担から始まりました。

制度開始から20年の間に、この自己負担割合は最大3割まで増えてきているところです。

また、自己負担2割が導入された時から、2割以上の負担者は、所得で判断されることになり、その基準額の引き下げなども議論の俎上に載せられています。

この一定の自己負担割合の他にも、比較的早い段階で入所施設の食事や居室(部屋)にかかる経費の自己負担化も行われました。

さらに、一定の自己負担上限額が定められている高額介護サービス費の引き上げや、その所得基準の見直し等も同じく財政的に厳しい状況にある医療保険に合わせて行われ、より利用者の負担が増す傾向にあります。

ケアプランの有料化は、このように、様々な形で利用者本人の金銭的負担が増えてきていることが背景にあります

ケアプラン有料化、まずは見送り

ケアプラン有料化は、慎重な立場が多くを占め、2020年の介護保険法改正のタイミングでは結果的に見送られることとなりました

見送りとなった主な懸念材料は以下の点です。

・ケアプランに自己負担化により、サービスの利用をやめてしまう人が出てしまう
・ケアプランの作成を専門職であるケアマネジャーに依頼せず、自己作成することを助長し、質が低下してしまう
・利用者や家族の言いなりになるなど、ケアマネジャーの中立性、公平性が損なわれてしまう
・ケアマネジャーが介入することができない領域が増え、問題の発見が遅れてしまうケースが多くなる

一方、導入派の理由は主に以下のような点です。

・企業や現役世代にこれ以上の負担増を求めることはできない
・負担をするだけの能力のある人は負担すべき
・ケアマネジメントもサービスの一部とも言えるので自己負担があっても良い

ケアプラン有料化の今後の見通しは

2020年の時点で有料化が見送りされたとは言え、厚生労働省は

「利用者やケアマネジメントに与える影響を踏まえながら、自立支援に資する質の高いケアマネジメント実現や他のサービスとの均衡等幅広い観点から引き続き検討を行うことが適当」

と述べており、再び2023年の改正に向けて検討が続けられていきます。

早ければ2024年度の導入となる可能性もあります。

自己負担の導入方法も、他のサービスと同じように負担割合ではなく、一定額となる方式なども考えられます。

いずれにしても、今後の動向に注目しておきましょう。

 

参考

第84回社会保障審議会介護保険部会 資料https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000560823.pdf

 

(Posted by ysk6)

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※掲載情報につきましては、 2020年03月18日公開時点のものです。 施設情報・制度・資格などにつきましては、改定などにより最新のものでない可能性があります。必ず各機関や団体、各施設などにご確認ください。

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