介護記録がストレス…介護職員が記録を書く目的っていったいなに?

介護記録がストレス…介護職員が記録を書く目的っていったいなに?

記録をとる女性の画像

こんにちは。社会福祉士・ケアマネージャーの吉田です。

介護職員が感じる介護現場の悩みといえば“介護記録の大変さ”ではないでしょうか?

介護記録を書くために残業をしなければいけないケースもあり、「介護記録って業務に必要なものなの?」等、介護職員として疑問に思うことがあるかと思います。

介護記録は利用者や自分自身を守るためのツールとなるため、正しい目的を理解しておきたいところです。

この記事では、介護記録を書く目的について詳しく解説させていただきますのでぜひ今後の介護記録の作成にお役立てください。

介護記録に追われる!記録が大変な理由は?

理由のイメージ

介護職の大切な業務のひとつに「介護記録」がありますが、字を書くのが苦手、作文が苦手という方にとってはストレスが溜まる時間ではないでしょうか。

介護記録がなぜ大変かというと、1つの出来事でも対応する介護職員の視点によって受け止め方が異なるためです。

例えば、「食事」
食事の時間を楽しみにされている利用者も多く、健康状態や嚥下状態など心身状態を把握できる時間です。

いつもと比べて摂取量が少ない利用者に対して、A職員は「好みの献立ではなかった」と感じ、B職員は「食事の形状が食べにくい」と感じたとします。

すると、食事のシーンのどこに重きをおいて記録をするのかということが問題になりますよね。

風邪をひいていたのかもしれないし、不安な気持ちから食欲が低下しただけなのかもしれない…多くの可能性を考え、ケアの内容を検討する材料となるのが介護記録です。

このように主観が影響する内容では、誰が書いても同じになるバイタルチェックや時間と異なり、介護職の視点や気づきの感性によって認識がズレてしまうため、不安に思う方が多いのでしょう。

いったいなんのために?介護記録の目的

目的のイメージ

介護保険制度において、介護施設や介護事業所は日々の記録を残し保管することが定められています。介護職員が行う記録は、利用者の情報やその日の状態、介護の程度などを正確に記さなければいけません。

質の高い介護サービスの提供

介護記録は利用者の介護状況や日々の様子が書かれ、職員間で情報を共有する役割をもちます。介護施設ではシフトによって担当する介護職員が異なりますので、介護職員によって異なったケアを提供してしまいがち。介護記録の情報は、利用者に対して統一されたケアを行うために必要となります。

職員間の申し送り

介護の現場では、出勤して業務をスタートする前には必ず介護記録を確認します。利用者の心身の状態は日々異なり、対応方法にも工夫が必要です。健康状態や配慮すべき事項が記された介護記録を確認することで、職員間の情報伝達を確実なものとしています

介護行為の証拠

日々素晴らしい介護を提供していても、記録が残っていなければ第三者へ伝えることができません。介護記録は事故や急変が起こった場合の正確な情報を伝える手段であり、介護職員の介護行為の証拠としての意味をもちます。家族から介護記録の開示を求められることもあるでしょう。

利用者にとって正しいケアが提供できていたのか?真摯な対応ができていたのか?等、万が一事故が発生し、介護の責任を問われる事態になったとき介護事業所と介護者自身を守ってくれるのは、法的な証拠となる介護記録です。

ケアマネジメントへの活用

利用者の生活上のニーズを抽出し、適切なサービスを調整、提供することをケアマネジメントといいますが、利用者の自立した生活とQOL(生活の質)の向上には、継続されたケアマネジメントが欠かせません。

介護記録に記載された日々の状況や状態を参考にし、利用者が自分らしい生活を継続できるようなケアマネジメント、ケアプランの策定に活用されます。

介護職の意識・資質の向上

介護記録を正しく記載しようとすれば、広い視野をもって利用者の見守りを行うことや、小さな変化への気づきが必要、とうことにおのずと意識が向きます。

例えば、「排泄誘導を拒否するようになった利用者に対して、“トイレ”という単語では伝わらないが“厠(かわや)”という単語を使用したら、利用者が理解し、トイレへ誘導することができた」という事例。声かけひとつですが、排泄介助の大きな発見でありデリケートな排泄介護をスムーズに進めるツールとなりました。このような日々の発見や気づきを記録として残していくことで、利用者に合った介護方法が確立されていきます。

介護記録を見直し日々のケア方法を確認することが習慣化されることも目的のひとつです。「より良い介護サービスを提供するにはどうしたらいいのだろう?」と介護職が専門職として意識を高める効果があり、資質や介護技術の向上につながるでしょう。

振り返りツール

高齢者介護では、突然の体調不良や食欲低下、心身の状況変化が起こりがちです。明確な原因がない場合も多く、「何をきっかけに状況変化したのだろう」と職員間でカンファレンスを開催することもあるでしょう。

そのような場合、介護記録を過去に遡ってみましょう。利用者の生活状況、言動を振り返ってみると何かきっかけがあったり解決へのヒントに気付く可能性もあります。

利用者のADL(日常生活動作)が低下したのか、一時的な問題だったのか、ケアの方法が適切でなかったのか、職員のスキルの問題なのか…と背景を掘り下げ、提供してきた介護が生活の質を高める効果に結びついたか?と検証するツールとしても役立ちますね。

各専門職間の連携を円滑化

介護の現場では、一人の利用者の生活を支えるために介護職員をはじめ医師や看護師、社会福祉士等、多くの専門職が連携し支援を進めます。

それぞれの専門職が同じ視点で利用者への支援をするために、利用者情報の原点となる介護記録が必要となります。

介護記録はよりよいケアの第一歩

女性がメモをとるイメージ

いかがでしたでしょうか?

介護記録の目的について解説させていただきました。

最近では、介護記録の電子化が進みパソコンやタブレット端末を利用した介護記録も珍しくありません。家族や専門職が入力された介護記録をタイムリーに共有でき、常に現場の最新情報を確認できるシステムも広まっています。

介護記録は「介護保険で定められているから、運営基準のためだけに記録するもの」ではなく、利用者に対してより良いサービスを提供し、質の高い生活を継続するためのものです。

「良い介護は、良い記録から生まれる!」という言葉がありますが、利用者の人生の一瞬を文字に記すことがよりよいケアの第一歩となるのでしょう。

今回解説した介護記録の目的を理解していただき、日々の介護業務に役立ていただければ幸いです。

(Posted by 吉田杏)

介護職員が行う記録において必要な「5W2H」とは?理解すれば記録の苦手克服が可能!

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※掲載情報につきましては、 2019年11月30日公開時点のものです。 施設情報・制度・資格などにつきましては、改定などにより最新のものでない可能性があります。必ず各機関や団体、各施設などにご確認ください。

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